霧ヶ峰高原・車山 ドライブ紀行

ハガキ版 霧ヶ峰高原にて 20150721

ハガキ版 車山にて 20150721

 

 長野県茅野市内から蓼科高原・白樺湖・車山高原・霧ヶ峰高原・八島ヶ原湿原を
通り、美ヶ原に抜ける全長76kmのビーナスラインは高原の中を走る、快適このうえ
ないドライブウェイです。40年以上も前に感動した風景を再び見たいと思い立った夫
婦は、ニッコウキスゲが真っ盛りであるはずの7月中旬に霧ヶ峰高原と車山をめざし
てドライブに出かけました。
中央自動車道の諏訪インターを出て、まずは霧ヶ峰方面に向かいます。

夫: 霧ヶ峰自然保護センター近くの駐車場に車を停めて、周辺を散策しようよ。

妻: それがいいわね。このあたりは6月がレンゲツツジ、7月はニッコウキスゲ、8月
   下旬にはマツムシソウ、9月からはススキと、毎月違う色に染まる高原なのよ
   ね。今回はニッコウキスゲが目的。天気が良いから期待できるわよ。
   青空が目に沁みるわね。

夫: 平日だから駐車場に余裕があって良かったな。

妻: アッ、富士山が見える!

夫: どこどこ?オ~、八ヶ岳連峰の向こうに富士山!なんという景色だ。

妻: 嬉しいわね、こんな景色が見られて。

夫: 八ヶ岳連峰と富士山を左に見ながら、頬に風を受けて草原の道を歩くなんて
   何とも贅沢な気分だよ。シシウドの花は最盛期だけど、ニッコウキスゲが少
   なくて物足りないぞ。

妻: 車山肩に行けば見られるかもね。ここの風景を見て、私、急に映画のサウンド
   オブミュージックでマリアが♪The hills are alive with the sound of music♪
   と歌っているシーンを思い出しちゃった。

夫: ア~、あの映画は名作だよね。おっ、鐘の音がするよ。あそこだ!行ってみよう。

妻: 霧鐘塔って書いてあるわ。私たちも鳴らしましょうよ。

夫: 40年前に美ヶ原に行った時も鐘の塔があったよね。さあ、一緒に鳴らそう!

野鳥を狙って大型望遠レンズを構えて座っているおじさんに気を惹かれたり、遊歩
道の近くに密やかに咲くハクサンフウロやウツボグサを愛でたりしながら草原歩き
を楽しんだ二人は、次の目的地である車山肩に移動。いよいよニッコウキスゲ群落
とのご対面のはずです。

夫: オ~、ニッコウキスゲだ!でも、柵で囲われているよ。これは電気柵だな。景
   色が台無しじゃないか・・・

妻: あるものは仕方がないわ。柵の事は気にしないで、遊歩道を歩きましょうよ。
   風が止むタイミングを見計らって写真を撮るから先に行っていいわよ。

夫: ここはニッコウキスゲの群落の奥に蓼科山や車山が見えて、いい雰囲気だ。
   ほら、下のほうに見えるのは湿原かな?遊歩道があちこちに伸びているから、
   次回はもっと広い範囲をゆっくりと歩きたいね。

妻: 同感よ。駐車場近辺だけではニッコウキスゲの群落を満喫したとは言えないわ。
   でも、今日はリフトで車山の頂上に行くことにしているから、そろそろ移動しま
   しょうよ。

二人はリフトの運転終了時刻が気になります。そそくさと車山肩を後にしました。
車山スカイライナー乗り場から2つのリフトを乗り継いで、標高1,925mの車山の山頂
に到着しました。ここには気象庁のレーダーがあります。ドライブ中に車窓から丘の
上にゴルフボールが乗っかっているように見えていたのがこのレーダードームでした。
頂上からは白樺湖とその向こうに美しい姿の蓼科山が見えました。絶景です。

妻: 神社があるわ。車山神社っていうのね。四隅の御柱がいかにも諏訪地区らしい
   わね。

夫: 御柱と言えば木落としだけど、ここは山頂に御柱を運び上げるんだね。7年に一度
   の力作業も大変だろうな。

妻: それにしても、車山山頂近辺にはニッコウキスゲの群落があると思っていたのに、
   ポツンポツンと咲いているだけで、ちょっとガッカリだわ。

夫: リフトの監視員さんに聞いてみようか?すみません、ちょっとお伺いしてもいいです
   か?ニッコウキスゲが少ないですね。

監視員: そうなんですよ。実は10年ほど前からシカによる食害がひどくて、どんどん減っ
      てしまったのです。昔は山頂まで群落が広がっていたんですがね。
      やむなく電気柵を設けてニッコウキスゲを保護しているんです。

妻: アァ、霧ヶ峰で見たあの柵はシカ除けだったのね。シカはニッコウキスゲを食べる
   んだ。

監視員: ニッコウキスゲは人間でも食べられるのですよ。さすがに生では無理ですが、
      お浸し、てんぷら、油炒め等にして食べられます。僕も子どもの頃は食べて
      いました。シカも美味しいと思ったんでしょうね。

夫: 味をしめたんですかね。それにしても、電気柵はかなり景観を損なって、残念です。

監視員: 確かにそうなのですが、この柵のお蔭でニッコウキスゲの群落が少しずつ復
      活しているのも事実なんです。共生を考えると、写真家やハイカーには申し
      訳ないのですが、我慢していただきたいと切に願っているんです。

夫: お話を聞けば、納得して受け入れるしかないですね。ネットで見たニッコウキスゲ
   が一面に広がる写真は、電気柵が写りこまないように工夫して撮ったんだろうな。
   いろいろと教えて下さってありがとうございました。

山頂ではカメラの三脚が突風で倒れるなどのアクシデントがありましたが、360度の景
観や足元に咲く可愛い花たちを楽しみました。
そして下山後は白樺湖畔を一周して帰路につきました。

今回は高原ドライブを満喫した二人でしたが、教訓をひとつ。高原の植物をじっくりと楽
しむには、時間に余裕を持った計画を立て、自分の足を使って歩き回るべし。

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