染めの小道

ブログ用 染めの小道 

 

昭和初期~30年代まで、東京でも水がきれいだった神田川・妙正寺川流域には300軒を超える着物
の染色関連業者があり、京都、金沢に並ぶ染めの三大産地だったそうです。
2016年2月26日から28日の3日間、妙正寺川が流れる中井駅周辺で町全体を染め物のギャラリーに
見立てた「染の小道」というイベントが開催されました。

夫: 新宿界隈の地場産業が着物の染色だったとは夢にも思わなかったよ。

妻: いい情報をゲットしたでしょ。私は布が大好きでバッグもカメラ・カバーも手作りしているか
   ら、布に関するイベントは見逃さないようにチェックしているのよ。うまくいけば、散策し
   ているうちに素敵な布の端切れが見つかるかもね。

夫: 最近はよく布地で小物を作っているよね。僕が使っているこのショルダーバッグはポケットが
   たくさん付いているしA4版の書類も入るから、便利で愛用させてもらっている。今日はお礼
   のつもりで付き合うよ。イベントは今年が8回目の開催で、昨年は3日間に推計12,200人が訪
   れたそうだ。

妻: ネット情報によると中井駅周辺の妙正寺川に反物を架ける「川のギャラリー」と、商店街に
   100点ののれんを飾る「道のギャラリー」が2大看板企画のようね。

新宿駅から西武新宿線各駅停車の電車で3駅目の中井駅で降りた二人は改札口で駅員さんから「染の
小道」の案内パンフレットを受け取り、ウキウキしながら会場へ向かいました。

夫: やはり大勢の人が来ているよ。イベントのチラシ配りの人たちも皆、粋な着物姿だ。あの人た
   ちがいるだけでも雰囲気が盛り上がるね。

妻: 若い人たちの和服姿もいいわ。レトロなイメージの和服を上手に着こなしていて素敵。和布を
   使った小物を扱う店もたくさんありそうだから、今日はお店巡りも楽しみにしているの。
   創作意欲満々の私だから、財布のヒモが緩んじゃいそう。

夫: なるほど、これが「川のギャラリー」か。300mに渡り、川面に色とりどりの反物が架けられ
   ているんだね。柄もいろいろで、きれいだ。昔、この川で染め物の水洗いをしていて、それ
   が妙正川の風物詩だったんだね。僕は東京生まれなのに初めて知ったよ。

妻: ほら見て!あのお店に掛かっているのれんはいいわね。素敵なのれんを探しながら歩きましょ
   うよ。チラシにはお店の人と相談しながら染め上げたオリジナル作品100点が街を飾ってい
   ると書かれているわ。のれんだけではなく、店舗の構えとの調和を楽しんで欲しいらしいわよ。

夫: この辺りには「目白大学」「東京造形大学」「文化学園大学」などがあって芸術や物づくりを
   勉強している学生が多く、今回のイベントにも様々な形でボランティアとして活動している
   そうだから、プロの染色作家から学生たちによるものまで、多様な技法を凝らした作品に出
   会いそうだぞ。

妻: 落合第5小学校で簡単な型染め体験が出来ると書いてあるから、行ってみましょう。

小学校の「千人染め」会場では希望者が型染めに挑戦していました。受付では順番待ち。これなら
3日間で千人ぐらいは軽く集まりそうです。参加者がひと柄ずつ染めた反物は来年のイベントで妙正
寺川に架けられるそうです。

担当者: まずは、あのテレビビデオを観て染め方を学んでください。そのあとで、お好きな柄の型
     紙を選び、染料付の刷毛を受け取ってください。

妻: 私は牡丹の花を選んだわ。力を入れすぎると滲むから、そこは気をつけて円を描くようにク
   ルクルと刷毛を動かすんだったわね。ウンウン、私としてはかなり満足に染める事が出来た
   わ。ステンシルと同じやり方よ。

夫: あの~、教えて頂きたいのですが、代表的な染色技法にはどんなものがあるのですか?

担当者: 染色液に浸す「浸し染め」「草木染」、刷毛や筆で書く「引き染め」「手書き染め」型紙
     を使う「型染め」「擦り込み染め」などが主だったものですが、他にもありますよ。
     どんな技法が使われているか、街にあるのれんを見ながら想像してみて下さい。

夫: 日本の陶器は最盛期の1/5程度に売上げが落ち込んでいると言われていますね。着物はもっと
   落ち込んでいるのではありませんか?

担当者: ええ、この辺りに300軒あったと言われている染色関連業者が、今では10軒程度しか残っ
     ていません。「染めの小道」は落合・中井を「染めの街」として再び日本や世界に発信
     したい、そして地域の活力を生み出したいという住民発意のイベントなのですよ。

妻: 街自体を染め物のギャラリーに見立てた企画はとてもいいですね。このあとも「染の小道」を
   じっくりと楽しませてもらいますね。

小学校での染色体験を終えた二人は飾られてあるのれんを見ながら街歩きを楽しみ、時折、川沿い
にある小さなお店に立ち寄りました。そして、あるお店で・・・

妻: このお店には気になるものがたくさん置いてあるから、暫くこの店にいるわ。あそこのカラフ
   ルな足袋もいいな~。あなたは適当に外で時間を潰していてちょうだい。

夫: やれやれ、これで少しだけ開放されるぞ。ブラブラと、のれん探しでもするか。

染色産業においても伝統技術を生かしながら、その時代に受け入れられるものを作り出していくの
は決してたやすくはないのでしょう。「染の小道」でのお客様との対話の中から、未来に繋がる何
らかのヒントを見出す事ができるといいですね。
着物や染色に興味を惹かれる若い人がどんどん増えて、日本ならではの美意識を現代に生かす手法
やアイデアを生み出してくれることを期待せずにはいられませんでした。

次回、このイベントに参加するときは革新的かつ斬新な染色技術に挑戦する人と作品に巡り会いた
いものです。一度絶やしてしまうと、復活させるのは容易ではありません。川沿いの地場産業が時
代の流れに押し流されることなく、しっかりと生き延びていって欲しいと願いながら、この街をあ
とにしました。

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