地下神殿を思わせる「首都圏外郭放水路」見学記

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11月14日、年に1度、1日だけ開催される埼玉県春日部市にある、洪水を地下放水路
に貯めて排水する施設「庄和排水機場」の特別見学会に行ってきました。
地下神殿を思わせる壮大な空間美が堪能できる「調圧水槽」を中心に、洪水に備える
機能の鼓動を全身で感じることができる見学会です。今年は隣接した常総市での大水
害により、地元の人の関心はきわめて高く、見学者は昨年よりかなり多いとの話が聞
こえてきました。

<首都圏外郭放水路とは>

「庄和排水機場」が担当する中川・綾瀬川流域は利根川・江戸川・荒川の大河川に囲
まれ、水がたまりやすい皿のような地形に中小河川が何本も走っています。
この施設は水を地下に取り込む「立抗」・立抗間をつなぐ「トンネル」・水勢を弱めスムー
ズな流れを確保する「調圧水槽」そして水を吸い上げ、高台を流れる大河の江戸川に
持ち上げて放流する「ポンプ設備」から成り立っています。平成14年から運用を開始し、
これまでに100回の稼動実績(平均年に10回の稼動)があります。
直近の稼動は「茨城県常総市大水害」の集中豪雨の時です。この施設が稼動してか
らこの流域では大規模水害は起きていません。

<長時間の順番待ち>

 当日は小雨が時折降り、傘が手放せない一日でしたので、東武野田線・南桜井駅
から会場行きのシャトルバスの乗車を期待していましたが、シャトルバスに並んでい
る長蛇の列に圧倒され、会場までの40分の道のりを歩くことにしました。幸い同じ思
いの見学者がゾロゾロ歩いていますので、後について行けば道に迷うことはありませ
ん。やっと「庄和排水機場」の広い施設に到着したものの、そこでも入り口まで長蛇の
列です。私は施設の入り口まで1時間半以上の時間、傘をたたんだり、開いたりしな
がら並びました。私より後に来た人たちは2時間以上待ちで、入場受付終了は午後2時
の予定が1時に繰り上げられました。ですから1時以降に到着した方は見学できなかっ
たのです。
広い調圧水槽の上は芝生です。当日は「彩龍の川まつり」がその芝生広場で開催され
ていましたので、国を持たない最大の民族であるクルド人(地元に1000人ほど暮らして
いる)の民族舞踊や地元の模擬店そして消火・防災体験などの様子を見ながら、並ん
でいる待ち時間を過ごす事ができました。

<「調圧水槽」内部の見学>

やっとの思いで、調圧水槽の入り口に到着。入るとすぐに100段のラセン階段を垂直に
一気に下り、調圧水槽の底に降り立ちました。周りを見回すと、そこは天井高が30mの
大空間にローマの神殿を思わせるコンクリートの柱が規則正しく林立しています。
すでにネットやパンフレットの情報でこの調圧水槽内部の様子は把握していましたが、
この場に立ちますと、予想通りの圧倒的な存在感で迫ってきました。来て良かったです。
のろのろ動きで並んでいた見学の人たちが途切れることもなく、次々とこの地下空間に
降りてきましたが、この中では見学者たちがまばらにしか見えません。それほどに広い
のです。見学者は写真を撮ったり、天井を見上げたりと、それぞれの時間を過ごしてい
ました。私はこの巨大空間をカメラで写しながら気付いた事があります。それは、河川
特有の水の匂いがしないことです。これは見学会のためにきれいに清掃をしたからだ
と思います。次に、貯水された水の出口となるインペラ(羽根車)のある場所へ移動しま
した。公開されたインペラは一台でしたが、並列する四台のインペラが同時に稼動する
と、25mプールの水を1秒で吸い上げる能力があるそうです。羽根の大きさを見てイン
ペラで水を巻き上げる能力の強さが納得できました。その後、再び水槽内の中央に戻り、
今度は違うアングルから写真をパチパチ。その後、インペラとは反対の位置にある水の
取り入れ口、立抗へ移動しました。立抗は直径約30m、深さ70mあります。近くには寄
れませんでしたがその大きさは実感できました。この調圧水槽には各中小河川の近く
に作られている五つの立抗と深さ50mの位置でつながっているトンネルを通して、水が
送り込まれてきます。
調圧水槽内の壮大な空間美に満足した私は100段のラセン階段を、今度は垂直に上り
出口へと向かいました。水を貯める水槽内ですから当然のことながら、エレベーターは
ないのです。

<調圧水槽を出てポンプ設備の見学>

インペラを動かすポンプ室には四台のポンプがありました。動かすのは2台で残りは非
常時用の待機ポンプです。電源やバッテリーなども全て非常用のものが準備されてい
ました。今日は見学会のためポンプは稼動していませんが、稼動すると相当な騒音に
なります。そのため壁面の構造は音を吸収する特殊な構造になっていました。

<見学会を終えて>

関東圏には大小の河川が東京湾や太平洋に流れ込んでいます。先の「茨城県常総市
大水害」では鬼怒川と小貝川に挟まれた地域が堤防の決壊でまるで湖のように浸水し
てしまいました。この地域に同じ施設があれば、堤防の決壊などが起きなかったかもし
れません。聞くところによると、この施設がこの地域に作られた理由は守るべき企業や
人口が多いからだそうです。すなわちこの施設を建設する資金があったからなのです。
常総市地域にもあったらと思うとやりきれない気持ちです。今回の見学会に例年より多
くの人が参加したのは、自分たちの地域を守ってくれた放水路設備に対して強い関心
を寄せたからでしょう。それはよいことだと思いました。
私は調圧水槽内部見たさの野次馬見学でしたが、この場に来て洪水に備える設備や
機能の充実の大切さを改めて実感する事ができました。そして、水害の心配がない住
環境で暮らしている幸せを感じました。
良い見学会に参加できたと思っています。

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