ケロとチュー太郎のタッグ大作戦

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春です。冬眠を終えて目を覚ましたガマガエルのケロくん。地上へ出て行く前に、
ヘビのヌルから自分や仲間たちを守る方法はないものかと考えました。
そして、この森を知り尽くしている赤ネズミのチュー太郎の力を借りることを思いつ
たのです。チュー太郎の仲間と自分の仲間が知恵と力を合わせれば、ヌルをやっ
つけられるかもしれないと考えたケロは直ぐにチュー太郎を探し始めました。
数日後、ケロは池のほとりでチュー太郎を見つけました。

ケロ :チュー太郎さん、久し振りですね。やっと冬眠を終えて地上に出てきましたよ。

チュー:オウ、出てきたか。今年も池のほとりで賑やかな合唱が聞けるな。

ケロ :早速ですが、ヌルを見かけませんでしたか?

チュー:いや、まだ見かけないな~。でも、ケロが出てきたということは、もうヌルが出
     て来ていてもおかしくないな。そろそろミミズや昆虫などが豊富になり、ヌル
     のような危険な奴も活発に動き始めるぞ。暖かくなってくることがいいのやら、
     悪いのやら。冬眠から目を覚ましたヌルの事を考えると、ああ、ヤダ、ヤダ。

ケロ :チュー太郎さん、相談があります。ヌルがこれから僕たちカエルやあなたたち
     ネズミを襲わなくさせる方法を一緒に考えてくれませんか?

チュー:「襲わなくさせる」って、そりゃ無理だろうよ。そんな方法があれば僕たちは安
     心して食べ物探しができるから、うれしいけどな。ヨシ、僕も手伝うぞ。

ケロ :まず、ヌルの弱点を教えてくださいよ。アイツは水の中も泳げるし、木にも登る
     し、枯れ草の山に隠れて急に襲ってきたり、擬態で騙したりすることもできる
     でしょ。僕にはヌルの欠点を全く見つけられないんですよ。

チュー:確かにその通りだ。ヌルに弱点なんてものがあるのかな?まず、体に弱点が
     あるかどうか考えてみよう。奴は僕たちのような手足を持っていない。この点
     は使えないかな?
     そうだ!ヌルは体が大きくなるたびに、着ている皮を脱ぐ「脱皮」という行動を
     とるんだ。この脱皮の最中だけは、絶対に我々を襲うことはできないんだ。
     この時が唯一のチャンスかもしれないな。

ケロ :へ~ェ、脱皮中は無防備だということですか。さすが、チュー太郎さん。
     よく観察していますね。

チュー:ヌルの行動は我々にとっても死活問題だからね。脱皮の最中は無抵抗だとい
     うことがヌルの弱点だと思うが、どうやって攻撃したらいいのかが、わからな
     いよ。

ケロ :もしヌルが脱皮できなくなったらどうなりますか?

チュー:多分、苦しんでもがくんだろうな。悪くすると死んでしまうかも知れないね。
     そこは見たことがないから何とも言えないな。

ケロ :でも、そこに賭けるしかないんじゃないかと思うのですよ。脱皮をさせないよう
     にしたら、降参して僕たちの言うことを聞くと思いませんか?

チュー:確かに、脱皮に失敗することはヌルにとって大きな痛手になるかもしれないか
     らね。でも、どうやってヌルが脱皮しているところを見つけるか。
     どうやって脱皮の邪魔をするかが問題だね。

ケロ :チュー太郎さんの仲間に声を掛ければ、脱皮を始めたヌルを見つけることがで
     きるんじゃないですか。脱皮を妨害するいい方法があります。任せてください。

こうしてヌル退治のためにカエルとネズミの共同作戦が組まれました。それから程なく
して、チュー太郎の仲間から、池のほとりでヌルが脱皮を始めるかもしれないという情
報が入りました。直ぐに勇気のあるカエルとネズミたちが集められ実行に向けた会議
が開かれました。ケロは自分の考えをみんなに伝えました。
みんなも納得です。いよいよ作戦開始です。

チュー:サァ、ヌルが脱皮を始めたぞ。今なら無防備だから近づいても襲われる心配は
     ない。ヨ~シ、みんな!始めるぞ!!

ケロ :チュー太郎さん、皆でヌルの体に乗っかり、器用な手を使って、皮が今以上に
     破けないように押さえつけてください。僕たちは自分の体から出るガマの油を
     ノリのように塗って、皮が脱げにくくなるようにします。

チュー:よし今だ!全員でヌルの体に上って、皮が脱げないように抑えつけろ。

ケロ :ヌルの動きが止まったぞ。僕たちも全員でガマの油をたっぷり塗りつけろ。

ヌル :ナ、ナッ、何だ、お前たちは!俺の脱皮を邪魔しようというのか。
     やめろ!脱皮できないと俺は大きくなれないし、下手をすると死んでしまうで
     はないか。やめろ!

ケロ :そうはいかないよ。これまでに何度も僕たちの仲間を襲ってきただろう。
     今日はこちらが攻撃する番だ。

チュー:お前には我々の仲間もいっぱいやられた。今日はこれまでの恨みを晴らすぞ。

ヌル :コラ、どけ!降りろ!何を塗っているんだ。ヤヤ、皮が脱げなくなったぞ。
     このままでは死んでしまう。こんなに大勢で体を押さえつけられたら動けない。
     ダメだ。もう、降参だ。何でも言うことを聞くからどいてくれ。脱皮させてくれ。

ケロ :それでは、これからはカエルやネズミを襲わないと約束するか?

チュー:ヘビは何度も脱皮して大きくなることを知っているんだぞ。今、嘘をついても、
     次の脱皮の時にはもっと大勢で押さえつけて、今以上に脱皮の邪魔をするか
     らな。
ヌル :分かった。降参だ。決して君たちを襲わないことを約束するよ。だから、早くどい
     てくれ。苦しくて、苦しくてたまらないよ~。本当に約束するよ。もう襲わない。

ケロ :ヌルが約束したぞ。みんな、もういいだろう。押さえつけるのをやめよう。
     ガマの油もみんなで舐めて、早く取り除いてやってくれ。

チュー:みんな、もういいぞ、ヌルの体から離れてやってくれ。

こうして、自由になったヌルはやっとの思いで脱皮を終えると、「これからは何を食べて
生き抜いていけばいいんだろう?」と考え込みながら、スゴスゴ、ニョロニョロと森の中
に消えて行きました。
チュー太郎たちのチュー、チューという勝利の雄叫びとケロたちのゲロゲロという歓喜
の歌声が森の中に響き渡りましたとさ。

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