ヤドリギと動物村の仲良し3人組

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動物村の仲良し3人組は玉蹴りや玉転がしが大好きです。今日も枯れ草を丸めて
作った玉を蹴って遊んでいるのですが、なんとなく投げやりな様子です。

ポン吉:また、バラバラになっちゃったよ。こんなに壊れてばかりじゃ、つまんないな。

コン太:しょうがないだろ。冬は枯れ草しかないんだから、スカスカの玉しか作れないよ。

ポン吉:アレッ、長老が向こうから来るよ。大きな丸い玉を抱えていないかい?

コン太:本当だ!あれは何だ?僕たちに持ってきてくれたのかな。

ミミ :大きな玉ね。

長老 :オ~イ、面白いものを見つけたから、持ってきてやったぞ。この塊はヤドリギ
     といってな、大きな高い木の枝に根を下ろし、その木から養分をもらって成
     長する変わった植物じゃ。冬でもこんなにみずみずしくて、しっかりしているん
     だぞ。

ミミ :ヤドリギ?初めて見るけど、丸くて大きいのね。どこで見つけたの?

長老 :ホレ、わしがやって来た方向を見てごらん。大きな木があるじゃろ。あの木の
     上の方にいくつか丸い塊があるのが見えるかい?あれがヤドリギじゃ。

コン太:見える、見える。だけど、ここから見ると大きな鳥の巣みたいだね。

ポン吉:でも、あんな高い所にくっついてるモノを、長老はどうやって手に入れたの?

長老 :ハハハ、これはな、あの木の下に落ちていたんじゃよ。珍しいものじゃから、
     お前たちに見せてやろうと思って、大事に抱えて持ってきてやったんじゃ。

コン太:長老、ありがとう。こんなに大きくて丸い玉を見たのは初めてだ。

長老 :ヤドリギのことを教えてやりたいが、ワシはこれから村の寄り合いに出るので、
     先を急がねばならん。これで好きなように遊んでいいぞ。それじゃ~な。

長老が残していったヤドリギの大玉を囲んで、3人組は相談を始めました。そして、玉
蹴りに使うには軟らかすぎるようだから、広場にある緩やかな丘の上から転がして遊
ぶことに意見がまとまりました。そこで、丘の上まで大玉を転がして移動させようと手
を添えたその瞬間、大玉から「ちょっと待って!」と大きな声がしたのです。
3人組はビックリ仰天、その場にひっくり返ってしまいました。

花の精:脅かしてゴメン。でも、お願いだから転がさないでくれないか。高い木の上か
      ら落っこちて少なくなってしまった大切な実が、これ以上、地面に落ちてしま
      うと困るんだよ。君たちは仲良し3人組だろ。君たちの言葉が理解できたから、
      すぐにわかったよ。僕は花の精なんだ。知ってるよね。

ミミ :花の精ですって?音楽隊の花の精とはお友だちだけど、あなたはどこにいるの?
    あなたの声は聞こえるけれど、姿が見えないわよ。どうして?

花の精:僕はヤドリギの実の中にいるんだ。だから、今は姿を見せることができないのさ。
      声だけで話しかけても、君たちなら僕の存在をわかってくれるよね。このヤドリ
      ギの実はこれ以上傷まないうちに、早く鳥に食べてもらう必要があるんだよ。
      手伝ってもらえないかな。

コン太:どうして食べられたいの?食べられたらダメなんじゃないの?

花の精:あのね、実を食べた鳥が落葉樹の高い木の枝にとまって糞をすると、実の中に
      ある種は消化されないで一緒に出てくるんだ。ヤドリギの種はとてもネバネバ
      しているから、木の枝に引っかかって落ちないのさ。
      木の枝にくっついた種は、そこに根を張り、太陽の光を浴びて芽を伸ばし、花
      を咲かせ、実をつけて子孫を残すことができるんだ。だから、鳥たちが食べた
      いと感じる新鮮なうちに、実を食べてもらう必要があるのさ。わかった?

ポン吉:フ~ン、そうなのか。だったら協力するよ。僕たちはどうすればいいの?

花の精:これ以上、実が傷んだり、地面に落ちない方法で、ヒヨドリや冬の渡り鳥のヒレ
      ンジャクがたくさん集まる場所に連れてって欲しいんだ。絶対に転がさないでね。

コン太:わかった。この広場の端に大きな椿の木があるんだ。そこにはヒヨドリがたくさん
     来るから、そこまで持って行ってあげるよ。

花の精:ありがとう。このヤドリギはくっついていた木の枝がポッキリと折れちゃって地面
      に落ちてしまったんだ。今なら、まだ実が新鮮だから子孫を残せるんだよ。

ミミ :わかった。とにかく鳥さんに食べてもらえる場所まで持って行けばいいのね。

コン太:そうは言っても、転がさずにどうやって運ぶんだよ。抱えるには大きすぎるし。

ミミ :ウ~ン、確かに大きいけれど、軽そうだわ。だからヤッパリ、担架よ。枝で担架
    を作って、その上に乗せて運ぶの。あなたたちが前と後を持って、私は落ちな
    いように手を添えて支えるわ。大椿までは平らな道だから、きっとうまくいくわよ。

ポン吉:それはいい考えだ。きっとうまくいくよ。頑丈な枝を二本、探してくるね。

3人組が作った担架に乗せられて、ヤドリギの大玉は椿の木の下まで運ばれました。
すると、椿の花の蜜を吸っていた鳥たちが一斉に集まって来て、ヤドリギの実をついば
み始め、たちどころに食べ尽くして飛び去って行ったのです。
鳥たちが飛び去った後、大玉の内側にひとつだけ実が残っていました。

花の精:君たちのおかげで僕はヤドリギの命をつなぐことができたよ。これも僕の仕事
      のひとつなんだ。みんなには感謝の気持ちでいっぱいだ。ありがとう。

ミミ :お役に立てて嬉しいわ。ところで、実がなくなったこの大玉はどうなるの?

花の精:君たちは玉転がしをしたかったんだよね。このヤドリギにはもう実がないから
      転がして、大いに遊んでくれたまえ。

コン太:本当にこれで遊んでもいいんだね。やった~!

ミミ :だけど、あなたがここに残っていたら、転がすわけにはいかないわ。

花の精:僕の仕事は終わった。最後の実と一緒に土に帰るんだ。これで仲良し3人組
      とはお別れだ。また、会う機会もあるだろう。元気でナ!

ポン吉:ウン、君の本当の姿を見ることができなかったのが心残りだけど・・・サヨナラ。

3人組の目の前で、最後まで残っていた実がポトンと地面に落ちました。その実をジッ
と見つめたミミは、やさしくソッと拾いあげて、上向きに咲いている椿の花芯の上に置き
ました。すると間髪を入れず、一羽のヒヨドリがそれを飲み込み、大きな木の方へ飛び
去りました。
それを見届けた3人組は安心して、ヤドリギの大玉をゆっくりと転がし始めました。最初
のうちは丁寧に扱っていましたが、すぐに力いっぱい転がし始め、そのうち、夢中になっ
た3人組の楽しそうな笑い声が冬空に響き渡りました。

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