ウォーキング会の下見も楽じゃないぜ!

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ある企業の定年退職者で構成するウォーキング会の幹事役が回ってきたメンバー
の二人。経験者の勢井さんと幹事初体験の孫さんはテーマを「日本橋周辺の歴史
散歩」に決めて、その下見をするために東京・日本橋の橋上で待ち合わせることに
しました。

勢井:ちょっと古いけど、今度の企画にぴったりのガイドブックを見つけましたよ。
    孫さんさえよかったら、この本にそって今日は歩いてみたいのですがどうで
    しょうか?

孫 :私は初めてなので、お任せします。今日の下見のポイントを教えてくださいよ。

勢井:参加人数はいつものように20名前後と考えましょう。ポイントは歩く時間、歩数、
    トイレの場所確認と集合写真の撮影適地を探し、食事処の予約といったところ
    です。

孫 :わかりました。歩数計と時計は持ってきましたよ。ところで街の案内はガイド協
    会の方に頼むのですか?詳しい人から学ぶのは勉強になりますからね。

勢井:いや、孫さんは歴史が大好きだと聞いていますので、今回のガイド役を引き受
    けていただけると嬉しいのですが。

孫 :エッ、僕にできるかな~。だけど、面白そうだからやってみようかな?このガイド
    ブックを参考にして、今日の下見で確認した建物や石碑などの説明をまとめた
    ガイド用の原稿を作ってみますよ。だけど、初めてなので補佐をお願いしますね。

持参したガイドブックには日本橋の北側ルートと南側ルートが記載されていますが、体
力的にも時間配分から言っても両方は無理なので、今回のウォーキング会は北側ルー
トのみに決めました。

勢井:集合場所は地下鉄のB6出口から地上に出た横にある乙姫広場にしましょうか。
    「日本橋魚市場発祥の地」の表示がありますね。スタートはこの日本橋の橋そ
    のものの解説からスタートですね。

孫 :日本橋は江戸開府とほぼ同時に架けられ、現在19代目なんです。この橋のそば
    には「日本国道路元標」、「日本橋魚河岸跡の石碑」がありますし、橋自体につ
    いては「花崗岩製の二連アーチのフォルム」「橋頭を飾る獅子と麒麟の像」を説明
    できますし、「運河巡りの観光船」などを紹介すれば、ここだけでも話どころが一
    杯ですよ。

勢井:いい調子です。原稿は必要なさそうですね。私はこの麒麟の像を見ると東野圭吾
    の推理小説「麒麟の翼」を、そして魚河岸跡の石碑では中村錦之助の映画「一心
    太助」が思い浮かびますよ。

孫 :いいですね。こんな役割分担でガイドをしましょうか。きっと喜ばれますよ。

二人は橋をあとにして、創業100年を超える老舗のお店が軒を並べる「むろまち小路」を
巡った後、中央通りを横断し、江戸桜通りに入って日本銀行の前に来ました。

勢井:日本銀行は事前予約すれば見学できるので私が予約をしておきます。ここは今
    回の目玉にしましょうね。ちょっと残念なんですが、向かいの貨幣博物館は今年
    の秋まで改修中で見学できないんですよ。そのあたりの説明だけはしておくとい
    いですね。

孫 :了解です。日本銀行の見学を終えたら12時になりそうですね。この辺りには食事
    をするところがないようですが、どうしますか?

勢井:中央通りまで戻るしかなさそうだな。戻って、再びここまで返って来るのは悔しい
    けど、周辺には見当たらないから、常盤橋の向こうまで探しに行きますか?

孫 :でも、ここで食事場所を探しに行けば、時間経過や歩数計の数値がむちゃくちゃに
    なってしまいます。それに直ぐには見つかりそうもありません。宿題として残しま
    しょうよ。「急いては事を仕損じる」と言いますからね。

勢井:座布団1枚! ハハハ、我々のことですね。「勢井ては孫する」ですか。うまいな。
二人はその後「3つの常盤橋」、「震災復興小学校として有名な常盤小学校」、昭和初
期の「近三ビル」を確認して中央通りに戻ってきました。

孫 :江戸城の常盤橋御門跡に続いている「めがね橋」が工事中なのは残念でした。
    コンクリート造りで公園が併設されている常盤小学校は関東大震災後の国の防
    災意識を強く感じさせる建物で、貴重なものなのですよ。

勢井:三越のある中央通りは昔から賑やかだったのでしょうね。

孫 :この辺りは「十軒店」と呼ばれ、5代将軍綱吉に招集された十人の雛人形師が店
   を構えた人形店街があったところです。そういえば、あそこにある長崎屋跡は将軍
   に拝謁するオランダ人の定宿だったところです。

勢井:ここにいると、シーボルトなどの一流の医師や蘭学者と交流していた解体新書の
    杉田玄白やエレキテルの平賀源内が行き来していた頃がイメージできますね。

二人はさらに「時の鐘通り」を歩き「ヘヤーサロンくぼた」の看板建築の傑作を見て、復
興小学校の一つである旧十思小学校に隣接する十思公園に着きました。

孫 :時の鐘通りには「石町・時の鐘撞き堂」がありましたが、その鐘はこの十思公園に
   移設されましたね。ここから「江戸伝馬町処刑場跡」の石碑が見えるでしょう。当時
   は広い敷地だったようで、安政の大獄(1859年)では吉田松蔭ら50余名が収容さ
   れていたんです。今年のNHKの大河ドラマにも登場することでしょう。

勢井:ウォーキングルートとしてはかなり、いいんじゃないですか。日本橋そのものに、
    日本橋三井タワーなどの最新のビル群と老舗の共存、関東大震災後の復興事業、
    昭和初期のビルディング建造物、さらに江戸時代の様子などが伺われる石碑の
    数々がある。私は「できた!」と思いますよ。

孫 :同感です。できましたね。今回は運河巡りの船には乗りませんが、次回はこの運
   河巡りと南側ルートのウォーキングを提案しましょうよ。

この日は約8,000歩。当日は日本銀行内を歩くので1万歩は超えるでしょう。しかし、今
回の下見では食事処が宿題として残ってしまいました。日本橋のど真ん中で20名以上
の人間がサラリーマンの昼食時間帯に、一堂に会して食べられる食事処を探さねばな
りません。難題が残りました。こうした企画は一回の下見で終わることは希です。
下見って楽じゃないんですよね。

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