巨大花が咲く森

Scan-001

真夏の暑さにウンザリしていた動物村の仲良し3人組は涼しさを求めて、村の中で一番
高い山の頂上にやって来ました。周囲に広がる美しい景色に感動しながらも、やはり
そこは育ち盛り。座り心地の良さそうな岩に腰掛けて、なによりも気になるお弁当を食
べ始めました。足元から吹き上げてくる涼しい風が、山登りの疲れを癒してくれます。
その風に乗って、甘い香りが漂ってきました。

ポン吉:いい香りがしてきたぞ。これは花の匂いだよね。
コン太:うん、確かに花の匂いだ。あの森の方から漂ってくるようだけど、崖が多くて危
     険だと言われている場所じゃないのか?
ミミ :でも気になるわ。ポン吉さんの匂い付けをしながら、少しだけ行ってみましょうよ。

3人組は甘い香りの誘惑に負けて、森へ入って行きました。香りが段々強くなるのに、
花は見つかりません。3人組は危険だということをついつい忘れて、森の奥に進んで行
きました。するといつの間にか、あたり一面が霧に包まれて、3人組は立ち往生してし
まいました。

ミミ :何も見えなくなってしまったわ。匂い付けを頼りに戻ったほうがいいわね。
ポン吉:ところがさ、花の香りが強くて、僕の匂いがわからなくなっちゃったんだよ。
コン太:困ったな。なんとかしなくっちゃ。見て!あそこだけ明るいよ。霧の晴れ間じゃな
     いか?あそこに行けば周りの様子がわかるかもね。

3人組は明るい空間を目指して進み、やっと霧の外に出ました。周りを見回した3人組は
ビックリ仰天、その場に座り込んでしまいました。そこには自分たちよりも、はるかに背
丈の高い草が生え、驚くほど大きな花が咲いていたのです。

ミミ :ヒャー!こんなに大きい花は見たことないわ。あの香りの元はこの花たちね。
ポン吉:おい、みんな伏せろ!大きな影が横切ったぞ。襲われるかもしれないから隠れ
     ろ。
コン太:アッ!あれはトンボじゃないか?僕たちより何倍も大きいトンボだ。あの足で捕え
     られたら逃げられないよ。
ミミ :ずっと以前、裏山で巨大トンボを見たでしょう。あれと同じじゃないの?
コン太:いや、あれは人間が作った飾り物だったから動かなかった。でも、今のは空中を
     飛んでいたぞ。だから本物だ。
ポン吉:早く戻りたいのに、帰り道がわからなくなっちゃったよ。どうしよう。
ミミ :それにしても、ここの花はどうしてこんなに大きいのかしら?
コン太:静かに!今度は嫌な羽音が聞こえてきたぞ。ハチだ。巨大なハチだ。隠れろ!
ポン吉:羽音が少し静かになったよ。ハチが花の中に入ったのかな?
ミミ :ハチは蜜を吸ったらすぐに花から出てくるわ。早く逃げなきゃ。キャ~、また向こ
    うから別のハチがやってきた。こわいよ~。

3人組は巨大花の太い茎の根元に身を寄せ合って、震えています。すぐ近くを巨大な
ダンゴ虫やアリたちが通りましたが、どうやら見つからずにやり過ごせたようです。
3人組は自分たちが巨大な花の咲く森に迷い込んだことを悟りました。

ポン吉:ねえ~、聞き覚えのある音楽が聞こえてこないか?
ミミ :うん、聞こえる。だんだん音が大きくなっているから、近づいて来ているのよ。
コン太:以前、出会った花の精の音楽隊に間違いないようだな。助けてもらおうよ。
     でも、僕たちがここにいることを、どうやって知らせたらいいのかな~。
ポン吉:花の精がもっと近くに来るのを待って、飛び出そうか。
ミミ :ダメよ。先にトンボやハチに見つかったらどうするのよ。
コン太:だけど何とかしなきゃ。こうなったらイチかバチかだ。3人一緒に大声を上げて
     呼んでみようよ。花の精なら僕たちの言葉がわかるはずだから、気付いてくれ
     るさ。だって友達だもの。

まもなく、花の精の音楽隊が3人組にとっては懐かしい音楽を奏でながら姿を現した時、
思い切って大声で助けを求めると、花の精はすぐに気付いてくれました。
ところが、間近に来た花の精たちを見て、またしてもビックリ仰天。ナント、花の精たちは
ミミたちと同じ大きさになっているではありませんか。

花の精A:3人組さん、あなたたち、ずいぶん小さくなっちゃったのね。一体どうしたの?
ミミ  :私の方が聞きたいわ。前に会った時は、私の手のひらに乗るぐらいだったあなた
      たちが、どうしてそんなに大きくなっちゃったの?
花の精B:僕たちは以前と変わっちゃいないよ。もしかしたら、君たちは不思議の森の霧
      に囲まれなかったかい?
ポン吉 :確かに霧には包まれたよ。だけど、それがどうしたっていうの?
花の精C:やっぱりそうだ。僕たちが大きくなったのではなくて、君たちが小さくなったん
       だよ。あの霧は何でも小さくしてしまうんだ。
       そこを通ったから、君たちの身体が小さくなってしまったんだよ。
コン太 :僕たちの方が小さくなったって?ウ~ン、よく理解できないけど、元に戻る方法
      はあるのかな?知っていたら、教えてよ。
花の精A:ちょっと待っててね。ミツバチさんに頼んで巨大花の花粉を少し分けてもらうか
       ら、それを舐めたあと目をつぶってごらん。目が開いた時には、きっと元の大
       きさ戻っているはずだよ。僕たちに任せて!

花粉を舐めた仲良し3人組は花の精たちの言ったとおり、目をつぶりました。そして、目
が開いた時には、お弁当を食べたあの岩の上に座っていたのです。

ミミ :あれっ!どうしてここにいるの?私たち、元の大きさに戻っているのかな~?
コン太:岩の大きさがお弁当を食べた時と同じだから、元の身体に戻ったんだと思うよ。
     でも、どうやってここまで帰って来たんだろう。
ポン吉:よくわからないけど、花の精さんたちに助けてもらったことだけは確かだね。

3人組は周囲の景色や、時折飛んでくるトンボがいつもの大きさかどうかを確認しながら
下山しました。村の入口で長老の姿を見て、ようやく元の大きさに戻っていること実感し
たのです。それまでは、自分たちが小さくなったままではないかと、内心ビクビクしてい
たものですから、ヤレヤレと胸をなでおろしました。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。