鴨ン カモン everybody !

鴨ん カモン はがき版-001

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ある日、住宅街の一角を一羽のカルガモが歩いていました。何か用事があるような素
振りで一軒一軒、玄関先を覗いています。私はそのカルガモを勝手に「ガモちゃん」と
名づけて、そっと後をつけてみました。するとガモちゃんが何やら、つぶやいています。

ガモ:この家かな?あっちの家かな?住所をはっきり聞かなかったから、なかなか探し
    当てられないぞ。困ったな。このあたりだと思うのだけど・・・

一瞬、戸惑ったのですが、私は思い切って声をかけることにしました。人間の声に驚い
て逃げられたら、それはそれで仕方がないと考えたのです。

私 :あの~、私の耳にあなたのつぶやきが聞こえたので、思い切って声をかけますが、
    どなたの家を探しているのですか?
ガモ:おやっ!驚いた。あなたは人間なのに、なぜ、言葉が通じるのですか?
    それにどうして、私が誰かのお宅を探していると分かったのですか?
私 :私にも理由がわかりませんが、どなたかの家を探し当てられないで困っていると、
    あなたが独り言を言っているのが聞こえたのです。
ガモ:そうですか。人間と会話をするなんて歓迎すべきことではありませんが、何かの拍
    子にあなたと私の世界がつながってしまったのですね。
     この際、しばらくの間、私にお付き合い頂いて、目的の家に案内してくださいま
     せんか?
私 :お役に立てるなら、喜んで。
ガモ:私は今、Sさんのお宅を探しているのです。いつだったか、私が近くの田んぼにい
    た時、Sさんが私たち夫婦の写真を撮っておられたのです。女性でしたね。
    私たちに出会ったことがとても嬉しかったようで、何度も何度もシャッター音が聞
    こえてきましたよ。
    その時、彼女が「私はこの田んぼの近くの住宅街に住んでいるのよ。
    住所は・・・・・だから、一度遊びにいらっしゃいね。」と声をかけてくださったので
    す。名前も教えてくださったので、今日、こうしてやってきたのです。
私 :あの~、その女性は多分、私の妻ですよ。カルガモの写真をたくさん撮って、楽し
    そうに帰って来たことがありましたからね。我が家はホラ、目の前ですよ。
ガモ:エッ、そうなんですか!なんという偶然。
私 :こんなことが、あるんですね~。さあさあ、こちらへどうぞ。カルガモさんを我が家
    にお招きするなんて初めてだから、ドキドキしてしまいますね。
ガモ:私も人間の家に伺うのは初めてなんですよ。
私 :お~い!珍しいお客さんだよ。早く出ておいで。
妻 :どなたかしら?あら、カルガモさんじゃないの。どうして逃げないの?
    どうしてあなたと一緒にいるの?エッ、エッ、大変!どうしましょう。
私 :何をオタオタしているんだい。私は彼に「ガモ」と名前をつけたけど、驚いたことに、
    彼と私は話ができるんだよ。君の言葉も通じるかもしれないね。
ガモ:大丈夫。ちゃんと理解できていますよ。今日は、あなたが写した私たちの写真を見
    せていただきたくて、やって来ました。
妻 :アラ、ヤダ!言葉が通じるのね。写真なら、ありますよ。私はカルガモさんの様子
    をいっぱい写したけど、あなたがあの時のカルガモさんなの?
    今、持ってくるわね。庭のベンチで待っててくださいな。あっ、ベンチじゃなくてもい
    いのかな?
ガモ:ありがとう。気を使わないでください。早く写真を見たいな。
私 :カルガモさんと一緒に写真を見るとはね。なんとも不思議な感覚だよ。
妻 :お待たせしました。ガモさん、これよ。よく写っているでしょう。あら、私、人間に
    話しかけるように言ったけど、良かったのかしら?
ガモ:全然、かまいません。どれどれ、写真を見せていただきますよ。やあ~、きれいに
    写っていますね。この田んぼは私たちのお気に入りの場所なんです。
    あのあと、子供たちが生まれて、今では大家族なのですよ。
    今度、みんなで遊びに来てもいいですか?
私 :どうぞ、どうぞ、いつでも大歓迎。「鴨ン、カモン、everybody」です。
    ただ、ここは住宅街で自動車や自転車も通るから、気をつけて来てくださいね。

ガモさんはベンチ前にセットされたテーブルの上に飛び移り、そこに広げられた写真にし
ばし見入っていました。ひと通り見たあと、「ありがとう」と言って飛び去って行きました。

妻 :ちょっと~、いつまでベンチで居眠りしてるの?
私 :う~ん、よく寝たな。アレッ、どうして、ここにカルガモの写真があるんだ?
妻 :何言っているのよ。昨日、家の前の道路を歩いているカルガモの写真を私が写し
    て、それを見せたら、以前、田んぼで写したのと同じカルガモかもしれないから、
    その写真を持ってきてくれって言ったのは、あなたじゃないの。
私 :そうだったっけ?
妻 :それで、同じだったの?それとも違ったの?
私 :カルガモを写真で識別するのは無理だよ。そんなこと言ったかな~。
    僕は今、カルガモと会話している夢を見ていたんだ。
    あれっ、カメラを構えて、何を写すの?
妻 :シーッ、門の前にカルガモが来ているのよ。今度はもっと近づいてアップで写す
    わ。静かに!動かないでよ。
私 :大丈夫だよ。我が家へのお客さんだから逃げないさ。
    「鴨ン、カモン、everybody」どうぞ!
妻 :あっ、逃げた。どうして大声を出したの?
    責任とってちょうだいよ。も~、怒った。今日のビールは無し!
私 :なんで逃げちゃったんだろう。自分の写真を見に来たんじゃなかったのかな?
妻 :まだ、寝とぼけてるの?全く、話にならないわね。
私 :この庭には鳥・蝶・セミなど、いろんな訪問者がやってくるから、楽しくって仕方
    がないよ。明日も、このベンチで次の訪問者を待つことにしよう。

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