白鳥ファミリーに出会って

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5月中旬、近隣の三日月湖でアサザが咲き始めたという情報を得た。三日月湖とは、

蛇行した河川を治水目的で改修を重ねた結果、もともとの河道から切り離されてでき

た河跡湖のことだ。公園の駐車場に車を停めた私達夫婦は、暫くの間、周辺を散策し

た。

夫:今日は風も無く、散歩には最適の日和だな。

妻:空気もカラッとしていて、気持ちがいいわ。アラ!あそこにいるのは白鳥じゃない?

夫:エッ、どこ?

妻:ほら、その川の向こう岸。2羽いるわよ。つがいかしら?

夫:ホントだ。よく気が付いたね。相変わらず、君は動くものを見つけるのが得意だな。

妻:ちょっと待って、ヒナも一緒にいるみたいよ。エ~ッと、1,2,3,4、ヒナは4羽ね。

   だけど、すぐそばで釣りをしている人が居るわ。釣り針が白鳥に引っかかったりし

   ないのかしら。心配ね。私、向こう岸の「ふるさとふれあい公園」側に戻ってみる。

と、言うが早いか、妻は背中のリュックを揺らしながら、一目散に駆け出した。私は少し

遅れながらも、あとを追いかける。向こう岸に渡る橋の上から、白鳥ファミリーがこちらに

向かって移動してくるのが目に入った。橋の上で待とうか、それとも向こう岸まで行くべ

きかと迷う私を尻目に、妻は迷うことなく橋を渡ってしまった。ヤレヤレと思いながら、あ

とを追うと、岸辺のフェンスの手前で妻はカメラを構えて、すでに撮影中。そっと近づいて

見ると、白鳥ファミリーは安全な場所に移動して、悠々と毛繕いを始めていた。

妻:あれ以上、釣り人の近くにいるのは危険だと思って、こっちに移動したのかしら。今

   は随分、ゆったりと寛いでいる様子ね。無事で、よかったわ。

夫:ほのぼのとして、何だか素敵な風景だね。ホラ、親子揃って同じ動作をしているよ。

妻:ネェ、4羽のヒナのうち1羽だけ、真っ白ね。白鳥のヒナってグレーじゃなかったっ

   け?

夫:グレーだと思うよ。もしかして、「醜いアヒルの子」の逆バージョンかな?

妻:ってことは、あの白いヒナはアヒルの子?そうだとしたら、面白い話ができそうね。

そんな話をしている所に、自転車に乗った中年女性が登場。自転車の前カゴにドッサリ

と積んだ草を「ドッコイショ」と抱えて、私たちが立っているフェンスの向こう側に行ったか

と思うと、腕の中の草を「はい、どうぞ」と言いながら、白鳥たちの近くに置いた。

夫:摘んだばかりの草のようですね。

女性:そうそう。白鳥たちが喜んで食べてくれるから、毎日、こうして運んでるのよ。

白鳥ファミリーに再び目を向けた後、女性は満足気な顔でサッと自転車に乗り、走り

去った。

妻:優しい人ね。そろそろ別の場所に移動しましょうか。

夫:そうだね。さっき、釣り人がいた場所のことが気になるから、行ってみない?

夫婦はすぐに、その場所を見つけた。

夫:ここは白鳥のエサ場だよ?ちゃんと板の台があって、草が置いてあるじゃないか。

   白鳥ファミリーはいつも通りに、ここでエサを食べようとしていたんだよ。

妻:だったらどうして、さっきの人は、ここで釣りをしていたの?ヒドイじゃないの。

夫:ほんとにヒドイな。誰が見たって、ここはエサ場だよ。

男性:そうなんですよ。時々、非常識なことをする人がいて、困るんです。

後方から声を掛けて来たのは、まだ若い男性だった。

男性:僕はこの公園の管理を任されている者です。今年、あの白鳥が産んだ卵は

     8個で、孵化したのは6羽。それが、いつの間にか4羽になってしまいました

     が、先日の新聞で、この白鳥たちのことが報道されたので、この公園のアイ

     ドルになるかもしれないと期待しているところです。近隣の住民の皆さんは

     温かく見守ってくださっています。

私の撮った写真をご覧になりますか?

夫:ええ、拝見しますとも。あ~、ヒナたちの表情が可愛いな。

妻:とてもいい写真だわ。先程、地元の人が草を運んで白鳥に与えているのを見まし

   たが、皆さんの協力も得て、ここが白鳥の名所になるといいですね。

男性:そうなって欲しいな~。そうすれば、この公園の利用者がもっと増えるかも。

夫:今日も、グラウンドゴルフを楽しんでいる人が何人かいますね。

妻:あそこの建物の中で、私は陶芸体験をしたことがあるわ。

男性:そうでしたか。これからも、どんどん利用してくださいね。それでは失礼します。

この公園からほど近い場所でも、先ほどとは違う白鳥ファミリーを目撃した。自宅から車

で10分足らずの所に、こんなに自然豊かな地域があることが無性に嬉しかった。それと

同時に、一度失ってしまえば、二度と取り戻せない大切なものを守ろうとする人がいる一

方で、自分の楽しみの方を優先してしまう人も、一部には存在する現実を突きつけられ

てしまった。

その日の夜は「自分自身も、気付かないうちに自然を壊すようなことをしてはいないだろ

うか?」と自問自答しながら眠りについたのである。

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