川辺の仲良し3人組

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動物村の仲良し3人組は水が苦手、だから川の中では遊びません。だけど3人組は今、

川に架かる丸木橋の近くで、川の中をじっと見つめています。何かを探しているので

しょうか?

ミミ :山からの雪解け水で水量が増えて、流れも早くなっている川は危険だから近づ

     かないようにと言われているけど、本当にちょっと怖いくらいね。

     これ以上増えたら、私たちのお家も水浸しになりそうだわ。

コン太:でも、見たことがないものがどんどん流れてくるから、眺めているだけなら楽し

     いよ。ほら見て!あそこの木なんて、ポン吉が溺れている姿みたいだね。

ポン吉:失礼なことを言うな。僕はここに居るぞ。それより、あそこに流れているのは

     コン太のしっぽみたいだ。きっと体は水の中で、もがき苦しんでいるんだろうな。

ミミ :ちょっと、ちょっと。二人共、何をしにここへ来たのかを忘れてるんじゃないの?

     よく、見張っていなきゃダメでしょ。

3人組がここに来たのは、キノコ狩りの時に知り合った滝つぼの主で水の精でもあるナ

マズの王様に会うためです。春になって川の水量が増えたら、この橋の近くで会おうと

約束していたのです。

ミミ :なかなか会えないわね。約束を忘れちゃったのかな。

ポン吉:そんなことあるものか。きっと来るよ。だって友達だもの。

コン太:これだけの水量があれば体の大きな王様でも、ここまで来られると思うんだけど

     な。

ミミ :ナマズの王様に会ったら、絶対に笑わせてはダメよ。地面が揺れるからね。

ポン吉:ちゃんとわかってるさ。僕は、今日こそ会えるような気がしているんだよ。

コン太:ねえ。泳ぎの練習をしながら待つというのはどうだろう?

実は、動物村の水難訓練で3人組は泳ぎの練習をしてきたばかりなのです。水中での

訓練をする前に、まずは地面の上で効率的に手足を動かし、頭を上げて空気を吸う練

習です。

ポン吉:誰が一番うまいか競争だ。最初は僕からやるぞ。エイッ・・・どうだ!

コン太:ワッハッハ!変な格好だな。

ミミ :笑っちゃ失礼よ。いざという時のためによく練習しなさいと言われたでしょ。

     今度は私の番ね。ソレッ|

ポン吉:ウッヒャッヒャ。ミミは手も足もしっぽも短くて、体が重そうだよ。

ミミ :笑ったわね。レディーに対して何てことを言うのよ。もう遊んであげない。

コン太:そんなに怒るなよ。そうだ、3人で一緒にやればいいんじゃないの?

     そしたら、お互いのことを見ないで済むだろ。

3人組は並んで手足をバタバタしながら、頭を上げて空気を吸う練習を始めました。

その時です。大きな笑い声と共に地面がガタガタ、ガタガタと大きく揺れ始めました。

ミミ :キャー、地震だ。怖いよ~。

コン太:みんな、落ち着くんだ。手をつないで、体を伏せろ!

王様 :オ~イ3人組、また怖がらせてしまったね。あまりに君たちの仕草が面白くて、

     ついつい笑ってしまったのじゃよ。

コン太:あっ!ナマズの王様だ。お久しぶりです。本当に来てくれたのですね。

ミミ :私たち、王様が来るのをここで毎日、待っていたのですよ。会えて嬉しいな。

ポン吉:王様~、驚かさないでくださいよ。僕は地面が揺れるのが、本当に苦手なんで

     す。お願いだから、笑わないで。でも、僕たちの格好はそんなに変だったの?

王様 :真剣に練習しているのに笑ってしまって悪かったね。ゴメン、ゴメン。みんな元

     気に冬を越したようだな。体も大きくなっているぞ。今日は君たちにお願いした

     いことがあって来たのじゃよ。聞いてくれるかな。

コン太:もちろん何でも聞くよ。僕たちは友達だからね。

ミミ :あの~、さっきから気になっているんだけど、王様のヒゲがちょっと・・・

王様 :ウワ~、バレてしまったかな?

コン太:アッ、片方のヒゲが変だよ。

ポン吉:ホントだ。クルリと輪になってる。オシャレだな~

王様 :イヤイヤ、オシャレなんてとんでもない。君たちへのお願いというのが、このヒ

     ゲのことでな。実はこのヒゲは王様としての威厳を保つためにはとても重要な

     ものなんじゃよ。わかるかな?ところが、雪解けで滝から落ちる水が勢いを増

     したことが嬉しくて、思わず宙返りを・・・

コン太:エッ!宙返り?

王様 :そうじゃ。柄にもなく空中に飛び出して、宙返りをしてしまったんじゃ。

ポン太:ウワ~、見たかったな。

王様 :ま~、聞いておくれ。そのあと、滝つぼに住む者たちがワシを見るたびにクスクス

     笑うんじゃ。どうして笑われるのかと不思議に思っていたある日のこと。その日

     は風のない暖かい日じゃったが、水面に映る自分の顔を偶然に見た途端、驚い

     たのなんのって。背筋が凍りつくかと思うほどじゃったよ。

ミミ :どうしてですか?

王様 :ヒゲの先が丸まって皆に笑われるようじゃ、威厳も何もあったものではないという

     ことじゃ。何とか元のようにピンとした立派なヒゲに戻してはもらえんじゃろうか。

コン太:お安い御用ですよ。ナッ、みんな。早速、ほどいて真っ直ぐにしてあげようよ。

3人組:ヨイショ、ヨイショ。

ポン太:もう大丈夫だ。元のようにピンとして立派に見えるよ。

王様 :そうか。それは助かった。これで堂々と滝つぼに戻れるな。ありがとうよ。ワッ・・

ミミ :ダメ!ワッハッハはダメです。笑わないで。地面が揺れる。

王様 :おお、そうじゃったな。その内、あの滝つぼにおいで。お礼にご馳走するぞ。

3人組にとって丸まったヒゲの先を元のように整えることは簡単だったけど、以前のキノ

コ採りの時にナメコの群生地を教えてもらったことへのお礼がちょっとだけ、できたよう

な気がしました。それ以上に、ほんの少しでも王様の役に立てたことが嬉しくて、ホンワ

カとした気分で家路に着きました。次にあの滝つぼに行って、王様に会う日のことを思い

描きながら。

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