「郡上おどり in 青山」は今年も盛況

DSC09192-001

DSC09169

 

 都会の真っ只中の一角に、すっかりお馴染みとなった三味線や太鼓と唄が流れ始め

る。2013年6月末、東京の青山・秩父宮ラグビー場の駐車場で「郡上おどり」が開催

された。手狭になった梅窓院の境内から会場をこちらに移しても、やはり人が溢れか

えっている。

20周年を迎えた「郡上おどりin青山」はますます知名度も上がり、大盛況だ。

超ベテランから初心者までが「主役は私!」とばかりに一心不乱に舞い踊り、下駄の音

が効果音となって鳴り響く。いつの間にか個々の人間が大きな渦の中に溶け込んでい

く。あまりの混雑に「勢いのついた下駄で足を踏まれては一大事!」と思い、渦の外へ

出た。

 

そばにいた見知らぬオジ様が感慨深げに語りかけてきた。

オジ様:いや~、ふるさとがある人は幸せだな~。まったく羨ましいね。僕は東京生ま

     れの東京育ち。<江戸っ子だ!>と粋がってきたんだけど、この光景を見て

     いると僕もふるさとが欲しくなってきた。

わたし:東京が<ふるさと>では?

オジ様:ふるさとっていう感じじゃないんだよね。あなたのふるさとは?

わたし:本州の西の端、山口県です。

オジ様:エッ、長州ですか。僕は日本中、ほとんど全ての都道府県に行ったけど、長州

     だけはまだ足を踏み入れたことがないんですよ。歴史好きな僕としては松下

     村塾などを訪れてみたいんですけどね。チャンスがなくて。

わたし:それは残念。是非、お出かけになってみてください。ところで、ふるさとは生

     まれ育った場所を指すのだと単純に思っていましたが、間違っていましたか

     しら?

オジ様:僕はふるさとという言葉に、出身地とは違うイメージを抱いているんですよ。

わたし:ハァ・・・そういえば<心のふるさと>っていうのがありますよね。

     今、思ったのですが、ここにいる人の中には郡上の住人や郡上出身者がいら

     っしゃるでしょうね。でも、ほとんどの人はそうじゃないはず。もしかした

     ら、郡上おどりがきっかけとなって郡上を<心のふるさと>だと感じている

     人もいらっしゃるのではないでしょうか。私は夫の転勤で岐阜県に住んだこ

     とがあります。その時から、郡上に何度も通っていますが、郡上の街には人

     を惹きつける魅力があるんです。特に郡上おどりは人を魅了する要素をたく

     さん持っているような気がしています。

オジ様:ホゥ、どんな要素ですか?

わたし:もともと単純な振り付けですが、ひとつの曲をかなり長く演奏することで輪を

     2~3周するうちに見よう見まねで踊りが身につき、そのうち自信がついて

     くる。約10曲ある踊りを、ひとつひとつマスターするのが楽しい。歌詞がお

     もしろい。曲のテンポにバラエティーがある。たったひとりでも飛び入りで

     きる。一旦、飛び入りしたら、いつの間にかグループの一員として溶け込ん

     でいる自分に気付く。浴衣に下駄というのが定番ですが、どんな格好でも文

     句を言われることはない。何よりも、郡上と郡上おどりを愛してやまない地

     元の人々が温かく受け入れてくださる。自由なのにいつの間にか輪の形成者

     の一人になっている喜び。こんなところですかしら。輪は日本人が大好きで

     尊い和ですものね。ちょっと飛躍し過ぎましたか?

     <心のふるさと>を持つのも素敵で幸せなことだと思うんですよ。

オジ様:イヤ~、皆さんが楽しそうに踊っている理由が判ったような気がします。

 

と、言いながら手を差し出されたので握手をしてお別れし、私は再び踊りの輪の中に。

最後の曲「まつさか」終了後、踊り惚けていた夫と<ふるさと談義>に花が咲いた。

 

私:さっき、初対面のオジ様とふるさとの話をしたのよ。あなたも東京生まれの東京

   育ちだけど、あなたのふるさとは東京なのかしら?

夫:イヤ、「東京出身です」と言うことがあっても、東京をふるさとだとは思ってい

   ないな。

私:やっぱりそうなんだ。どうしてなの?

夫:僕が小学生の時、通学路に長い黒塀があってね。毎朝、そこから三味線の音が聞こ

   えてきたんだよ。きっと見習いの芸妓さんが練習をしていたんだと思うけど、

   幼い頃の印象として残っているのがこれだけ。ところが実家に帰っても、昔の面

   影は全く無い。あの時の黒塀もとっくの昔にビルになった。そんな場所をふるさ

   ととは呼べないね。

私:フ~ン。私の実家周辺も一応、開発されて昔とは姿が変わったけど、やっぱりあそ

   こが私のふるさとだと確信を持って言えるわよ。この差は何なの?

夫:<ふるさと>という唱歌があるよね。「うさぎ追いし かの山 小鮒釣りし かの

   川」あれだよ。あれが頭の中に染み込んで、ふるさとというのはそういうもんだ

   と・・・

私:さっきのオジ様も同じなのかな?山や川がなくちゃダメ?

夫:山や川のある場所で遊んだ思い出が欲しいと、心の奥で望んでいるのかもね。

私:地方出身の私としてはあなたの気持ちを理解するのが難しいな。「ふるさとはどこ

   ですか?」と聞かれて、即座に生まれ育った場所の地名を挙げる人の割合が、ど

   のくらいなのかを知りたくなってきたわ。

   <ふるさと>って不思議な言葉に思えてきちゃった。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。