巨大たまごの怪

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動物村で早春に行われる恒例行事の「たまご祭り」。広場に雪のプールを作り、その中

に埋められた卵を子供たちが探し出すお祭りです。

今年も村の広場には残雪を集めたプールができました。しかし、その夜に強烈な突風が

村を襲ったのです。そして、風のおさまったお祭り当日、雪のプールの真ん中に巨大な

卵のようなものが出現しているではありませんか。

 

コン太:デッカイな~。僕の体より大きいぞ。あれは一体何だろう。

ポン吉:卵に見えるけど、卵じゃないかもしれないとお父さんが言ってたよ。

ミミ :あっ、長老が来た。おはようございます。これは卵ですか?

長老 :ウ~ン。見た目は卵だし、触った感じも卵だな。しかし、卵だとすると恐竜の

     卵かな?昔、恐竜や翼竜という生き物がいたらしいから、その卵ならこんな

     に大きくてもおかしくはないぞ。

     しかし、恐竜も翼竜もとっくに絶滅したはずじゃ。

コン太:もし、その恐竜とか翼竜が出てきたら悪さをするの?村はどうなるの?

長老 :わしにもわからん。わしも見たことがないからな。災いが起きなきゃいいが。

ポン吉:「たまご祭り」の日に現れたから、悪いものではないと僕は思うんだけどな。

長老 :今、大人たちが相談をしておるところじゃ。丸太で叩いたけれど割れなかった

     から、石かもしれないという意見が出ていたぞ。さて、どうなるのかな。

ミミ :村長さんがネ、話し合いの結果、これは卵ではないということになったから

     「たまご祭り」は予定通りに開催するって、たった今、言ってたわよ。

その後、子供たちは会場の外に出され、大人たちによる卵隠しの作業が続きました。

さあ~、準備が整いました。子供たちはいっせいに雪のプールに入り、卵探しに夢中

です。雪の冷たさなんて、子供たちには何の苦にもなりません。

その時です、巨大卵のようなものからコツン、コツンと音がしました。全員が慌てて

雪のプールから飛び出し、遠くから恐る恐る様子を眺めていました。

音はしだいに大きくなり、ついにヒビが入ったと思ったら、中から何やら大きな生き

ものが出てきました。

 

ミミ :きゃ~、あれは何?怖いよ~

ポン吉:見て!コウモリの羽根のようなものが伸びてきたぞ。やっぱり鳥かな?

コン太:やばい、卵だったんだ!恐ろしい敵かもしれないから、早く逃げようよ。

長老 :信じられん!あれは翼竜の赤ちゃんじゃないか。今も生き残っていたとは

     驚きだ。赤ん坊は怖くないが、近くに親がいると危ないから近づくなよ。

ミミ :でも赤ちゃんなら早くお母さんのところに返さないと死んじゃうよ。

     そうでしょ。

ポン吉:そうだよね。でも、どうやって親を呼んだらいいんだろう。

コン太:あの卵がどこから来たのかが分かれば、親が見つかるかもしれないね。

長老 :確かに。親が早く見つけて、一緒に遠くへ飛んで行ってくれるといいのじゃが。

     何か良い策はないものかな?あの巨大卵は春一番の強風で高いところから転

     がってきたのだろうから、裏山から来た可能性が高いぞ。裏山に親がいるに

     違いない。

 

動物村の住民には翼竜の親の大きさなど想像できず、怖がって誰も裏山へ探しに行こ

うとはしません。しかし、その間に翼竜の赤ちゃんは足がしっかりしてきて、鳴き声

を発するようになりました。ギャゴ、ギャゴ・・・

そして、雪の中に埋めてある卵を食べ始めました。

 

コン太:エサの卵が残ってる間に早く親を探さないと、大変なことになるかもしれないよ。

長老 :そうじゃ、良い考えが浮かんだぞ。村の全員を集めろ。翼竜が鳴いた時にみんな

     が同時に大きな声で鳴き声を真似るのじゃ。親の耳に届くようにな。

     そうしたら、必ず迎えに来るはずじゃ。それ、鳴いたぞ!みんな頼むぞ。

全員 :ギャゴ~、ギャゴ~、チ~、ウォーン、ギャ~、クワ~・・・・・

 

暫くすると、空が急に暗くなりました。翼竜の親が迎えに来たのです。そして、ギャゴ~

と大きな声を発すると、赤ちゃんは必死に羽ばたいて親と一緒に裏山へ向かって飛び去

って行きました。動物村の広場には再び静けさが戻ってきました。

 

ミミ :ね~、卵探しの続きをやろうよ。卵はまだ残ってるのかな~。

コン太:僕の取った卵が割れている。頑張らないと負けてしまうな。

ポン吉:僕のも割れちゃったよ。これから、いっぱい見つけるぞ~

 

動物村の住民はまるで何事もなかったかのように、誰も翼竜の話をしません。

誰もが信じ難く、話題に出すことすらできないのかもしれません。村に災いが及ばなく

て良かったです。それにしても動物村には変なお客さんがよく訪ねてきますね。

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