日本にも氷河がある!

氷河3-001

氷河1-001

永 :先日、カナダのコロンビア大氷原の映像がテレビで流れて、20数年もの昔、この場 
   

    所で氷河の上を自分の足で歩いた時の感動を思い出しましたよ。

美位:私も行ったことがあります。良い思い出になっています。ところで、日本にも氷河

   が現存していることを知っていますか?

永 :えっ?そうなんですか?万年雪とか○○雪渓という言葉はありますが、○○氷河は聞い

   たことがありません。地図にも載ってないと思いますよ。日本の氷河といえば、

   2万年前の氷河期の氷で削り取られた中央アルプス駒ヶ根の千畳敷カール等が有名で

   すね。この知識から日本では氷河は過去のものだと思っていました。

   どこにあるのですか?ついでになぜそれが氷河だといえるのか、その理由を知ってい

   たら教えてください。

美位:私は一年前の読売新聞の記事を思い出して、2011年11月15日に発表された富山県の

   立山カルデラ砂防博物館が出した報告資料を見直しました。そこには「立山連峰の

   主峰・雄山で1ヶ所と剱岳に2ヶ所の計3ヶ所で氷河と見られる氷の塊を確認した」

   と写真入りで詳細な調査結果が出ていました。これが今年4月になって日本初の氷河

   と認定されたんです。日本で初めて発見された氷河ですよ。各氷河の名称は「御前沢

   氷河」「小窓氷河」「三ノ窓氷河」と決ったそうです。

永 :そうですか。それまで氷河として認定されたものは無かったのですね。私が知らなく

   て当然だったな。それではその内容を教えてください。でもその前に氷河の定義から

   話していただけますか。

美位:通常、標高の高い山や極地で、川のように上流から下流へ移動している巨大な氷の塊

   のことを「氷河」と言いますが、学術的に氷河と認められるには、厚い氷体を持ち、

   常に動いていることが条件になります。動いていれば必ず亀裂が生まれます。それが

   クレパスですね。

永 :なるほど。氷河にクレパスがある理由は氷河が動いているからなのですね。納得です。

美位:氷河の根拠ですが、砂防博物館が平成21年から剱岳や立山周辺の3つの雪渓で調査

   を開始しました。そして、氷の厚さを測るアイスレーダー観測で約25メートルの雪

   の下に、厚さ30メートル以上の氷を確認しました。さらに、GPS(衛星利用測位

   システム)を使い1カ月に30センチほど動いていることを突き止めたんです。

   この結果をまとめた論文が日本雪氷学会に提出されて、氷河として認められたんです。

永 :分かりました。でもなぜ、今ごろ見つかったんですか?もっと早く分かってもいいと

   思うけど。

美位:氷河を確認した砂防博物館の福井幸太郎学芸員は、「小型の観測機器が開発されたお

   かげ」と言ってます。氷の厚さを測るアイスレーダーやGPS計測器が、雪渓に持ち

   込める大きさになったのは、最近のことなんだそうです。戦前に登山家としても有名

   な京都大学の今西錦司博士が立山に入り、雪渓が氷河である可能性を書き記している

   そうですが、当時は確認する方法がなかったんです。

   科学技術の進歩が氷河の発見を可能にしたのですね。また、雪渓は断崖絶壁の向こう

   側にありますから、容易に人を寄せ付けない。山岳ガイドがいなければ行けない。

   これも要因のひとつでしょうね。

永 :雪渓のある場所は厳しい環境だから、近づいて測定するには機器の小型化が不可欠だ

   ったということですね。納得です。

   そも、なぜ立山なんですか?なぜ北海道や富士山には氷河がないのですか?

美位:氷河ができる条件は、「気温が低いこと」と「夏に解けてなくならないほどたっぷり

   雪が降ること」だそうです。日本で最も気温が低い場所は富士山頂ですが、降雪量が

   足りません。一方、北海道は、2,500メートルを超えるような高い山がなく、降雪量

   も多くないので、氷河はありません。両方の条件を満たすのが、豪雪地帯にある立山

   だったわけです。調査地点のひとつである剱岳の三ノ窓雪渓では、厚さ30メートル

   の氷河が年に4メートルのスピードで下流に向かって動いていると推定されています。

永 :ということは、立山が氷河の南限になるのかな。

美位: 極東アジアでは、氷河形成地の南限がカムチャツカ半島とされており、「立山の氷

    河」が発見されたことで、富山が南限となりました。

永 : 面白いお話を聞かせていただきました。日本にも氷河があるとは思いもよりません

   でした。

   氷河の氷をボーリングして、閉じ込められている数百年分の大気を分析すれば、立山

   連峰の氷河分布の全貌や環境変化の解明につながるでしょうね。

   調査の進展が楽しみです。

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