神様の使いになった者たち

神の使い

 

ある時、三人の神様が顔を合わせて何やら相談を始めました。


一の神:あれだけ永い間、争いの絶えなかった人間たちが稲作を覚えて、やっと仲良く

    暮らせるようになったことは本当に喜ばしい。

二の神:だが、不作になると、元のように奪い合いの争いを始めるのではないかと心配

    だ。

三の神:人間たちは「今年も豊作でありますように」と、我々に祈りを捧げに来る。

    その祈りに応えて、我々が直接手を差し伸べたのでは、大切なことを忘れさせ

    てしまうような気がしてならない。彼らが労働の汗の尊さを忘れ、次に食べ物

    を粗末にし、最後には再び争いの世界に戻ることが心配だ。

一の神:そこで皆に集まってもらったのだ。私たちが直接手を下さずに、人間たちの育

    てている作物が豊作になるように手助けする方法はないものかな。

二の神:例えば、私たちの使者を人間の近くに置いて、その使者に私たちの教えを伝え

    てもらうというのはどうだろう。

三の神:それはいい考えだ。だが、その使者を誰に務めてもらうのかが問題だな。

一の神:我々を頼りにしている人間の営みには稲作以外にもいろいろな仕事が生まれて

    いるので、願いの種類が広がっている。だから、我々もそれぞれ異なる使者を

    立てるとしよう。

二の神:それが良い。だが、誰を使者にすれば良いのか心当たりが・・・

三の神:う~ん。少し考える時間が欲しい。


三人の神様はそれぞれ自分に適した使者を誰にしようかと一所懸命に考えて、ついに

決めたようです。
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一の神:私は「ネズミ」を使者にしようと思う。実はずっと昔の事だが、私が秋のスス

    キヶ原を歩いている時に火事が起き、乾燥していたススキをなめるようにすご

    い勢いで火が迫って来た。

    その時、ねずみが私の足元に出て来て、「この穴は小さいですが中はとても広

    いのです。どうぞ中に入って火を避けてください」といって私を助けてくれた。

    私はその穴の中で火をやり過ごすことができたのだが、穴の中はとても整理整

    頓ができていて塵ひとつなかった。彼らは身の回りを清潔にする習慣が身につ

    いているのだろう。私は健康管理の大切さを人間に伝えたいので、ネズミに私

    の使者を頼みたいと思う。

二の神:私は「シカ」を選ぶことにした。私の住む地域は昔からシカと人間は仲がいい

    のだ。大きな広場ではシカと人間が仲良く並んで食事をしている風景をよく見

    かけるが、私はその光景をとても好ましく思う。

    シカの角は「ロクジョウ」と呼ばれる不老長寿の漢方薬として、人間の役にも

    立っている。私は人間同士だけでなく、命あるものすべてが和して、争いごと

    の少ない美しい国造りに取り組みなさいと伝えたい。人間と仲の良いシカに、

    私の使者になってもらうのが適任だと思うのだ。

三の神:私は「キツネ」に決めた。キツネはいつも人間と距離をおいて生活しているの

    で、一見不向きのように思われるが、人間がキツネを嫌っているわけではない

    ようだ。キツネは人を化かすとよく言われるが、そんな話が出るのはキツネが

    人間にとって意外に親しみのある生き物だということではないだろうか。

    キツネは作物を荒らす悪い奴を追い払ってくれるということもあり、人間はキ

    ツネに対して感謝の心を持ち合せているようなので、使者として向いていると

    思う。私は人間に五穀豊穣を求めるならば、目に見えないものへの気配りと感

    謝の心を忘れてはならないのだということを伝えたい。

    キツネは喜んで協力してくれるだろう。
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こうして三人の神様の使者が決まったそうです。ホントかな???
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<狛ネズミ>

  京都・大豊神社には大国主命(オオクニヌシノミコト)の使いとして「狛犬」なら

  ぬ「狛ネズミ」が座しています。ここは医薬、 学業、勝運、縁結びの神として有

  名です。野原で火に囲まれたところを助けられたという神話があります。

<奈良のシカ>

  奈良にいるシカは春日大社の春日神の使いとして保護されています。ここは「都」

  の鎮守と国家の繁栄を担う神です。春日大社の第一殿の神、武甕槌命(タケミカヅ

  チノミコト)が鹿島神宮(茨城県)から白い鹿に乗って奈良にやってきたという伝

  説があります。

<狛キツネ>

  全国稲荷神社の総大社である京都・伏見稲荷大社。ここは五穀豊穣と商売繁盛の神

  として有名です。稲荷の神と同体と考えられる御饌津(ミケツ)神が誤って三狐神

  と書かれ、そこから狐が登場した。(「ケツ」は狐の意味の古語。

  今でも狐を「ケツネ」と呼ぶ地方があります)・・・一番よく聞く説です。

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