書店は千客万来 ≪ パート(1)≫

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第1話:もっと情報をください。お客様!

 客 :いつだったか新聞に載っていた本を探してるんだ。新聞の名前や日付も、
     本のタイトルも忘れちゃったんだけどね。

 店員:(そんな無茶なお客さん・・・)ウ~ン。では、どの分野の本でしょうか?
     例えばミステリーとか、健康に関するものとか。

 客 :それがね、タイトルが魅力的で読んでみたいと思ったんだ。

 店員:ずいぶん印象に残ったタイトルだったんですね。
     ところで、最近、印象に残る出来事はございませんでしたか?
     お子様の結婚とか・・・

 客 :子どもの結婚はないがね。
     そうだ!実家の庭にあった自慢の木が台風で倒れてしまったんだよ。
     悲しくてね、泣いたんだ。思い出がいっぱい詰まった樅の木だった。

 店員:もしかしたら、歴史小説ではございませんか?

 客 :アッ!思い出した。「樅の木は残った」だ。
     君のお蔭で本の題名を思い出したよ。君はえらいね。

 店員:とんでもございません、まぐれです。思い出されたのはお客様ですよ。
     山本周五郎の作品なら、こちらにございます。

 客 :思い出の樅の木が倒れて悲しんでいる時に、新聞をめくっていたら「樅の木は
     残った」というタイトルが目に飛び込んできてね。
     昔読んだはずだけど、もう一度じっくりと読みたくなったんだ。ありがとう。

 店員:こちらこそ、毎度お買い上げいただき、ありがとうございます。


第2話:お手上げです。お客様!

 客 :近所の人が勧めてくれた本なんだけどねぇ。タイトルを忘れてしまって。
    でも絶対に買わなきゃいけない本なのよ。なんとかして!

 店員:(これは印象に残る出来事ではダメそうだな・・・)
     勧められたのはいつごろでしたか?

 客 :先週の日曜日だったわね。今年から畑を借りて、主人と二人で家庭菜園を始め
     ているんだけど、畑から帰る途中で家庭菜園の先輩に会ったのよ。

 店員:その時はどのような会話をなさいましたか?

 客 :そうね、白いカビが生えたように見えたキュウリの葉っぱについて相談したの。
     そしたら「消毒が必要ね!」という話になってね.

 店員:では、園芸関係の本でございましょうか?それなら、こちらへどうぞ。

 客 :アッ、思い出した!「四季の家庭菜園」という本だわ。
     野菜がかかりやすい病気について、簡単な対処法が分かり易く書かれている
     便利な本だと言ってたわ。
     ありがとう。あなたのお蔭で題名を思い出しましたよ。
     店員さんはえらいわね。

 店員:とんでもございません、まぐれです。題名を思い出されたのはお客様ですよ。
     その本ならここにございます。

 客 :キュウリは今直ぐに消毒してあげれば大丈夫と言ってたから、早速、本を読んで
     消毒液を作ります。きっとおいしくて新鮮なキュウリができるでしょう。
     たくさん収穫できたら店員さんにも持ってくるわね。本当にありがとう。

店員:こちらこそ、毎度お買い上げいただき、ありがとうございます。

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